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Clik here to view.ENWでは、自主的な調査研究を応援する体制があり、最近、メンバーの一人が仕事中の電磁波対策について調べ、調査結果を共有してくれました。
その資料に示されていた参考書籍(*1)のひとつをパラパラ見ていたら、
「人口の2~3%が化学物質過敏症または電磁波過敏症(*2)である」
という記述が目に入りました。
日本ではどのくらいなんだろう、と思い、インターネットで調べてみたところ、電磁波過敏症の数値は見つかりませんでしたが、化学物質過敏症については2000年の調査で、可能性のある人は2%というデータが見つかりました(データ元:化学物質過敏症支援センター)。
この2%という数字を見て、私は初め、
「そんなに多くないんだな、まれにそういうことがあるんだ」
という印象を持ちました。
そして、自分が過敏症になることはまずないだろうと思いました。
しかし、2000年の日本の人口はどのくらいか調べてみると、
約1億2561万人(総務省統計局)。
この2%とは、約250万人という数です。
たとえば「ミリオンセラー」と言われた場合は、
すごくたくさんの人が買っているような感じがします。
「ミリオン(100万)」という表現が桁の大きい数字で、
感覚的に大きく感じるせいもありますが、
ミリオンセラーを出したその作家が好きで、
多くの人に読まれたと思いたいと感じている場合には、
その主観がさらに数字を大きく見せるように思います。
「2%」が小さく思えたのは、2という小さい数であるため、
感覚的に小さく感じるということもありますが、
今の便利な生活をやめたくない、自分は大丈夫だと思いたい、
という私の主観が入ったためだと思いました。
ミリオンセラーの100万よりも多い250万人という数字が
大した数ではないように思えてしまう。
これは危険な錯覚だと思い、さまざまな視点からこの数字を検証してみました。
先日乗った新幹線の1両あたりの座席数は20列✕5席=100席。
単純に考えて、過敏症の可能性のある人は一車両に2人。
(過敏症の人はそもそも乗ること自体ができないとは思いますが…。)
私が住む東京都府中市の人口は約25万人。
過敏症の人の数はこの10倍以上。
日本で食物アレルギーを持つ人の割合は約1~2%(厚生労働省ウェブサイト)。
食物アレルギーの患者さんは多いと思っていましたが、
同じくらいの数の人に過敏症の疑いがあるということがわかりました。
このようにして考えていくうちに、
最初に持った「まれである」という印象が誤りだったと気付き、
数字には注意が必要だという教訓になりました。
なんらかの効果を狙って故意に表現が選ばれる場合もありますし、
主観によって無意識に勝手な解釈をしてしまうこともあります。
数字に限らず、事実やアンケート結果などでも、
もととなっている情報をさまざまな角度から検証することで、
誤った印象に基づく判断を避けるように気をつけよう、と思いました。
注:
*1) 「本当に怖い電磁波の話-身を守るにはどうする?」
(植田武智・加藤やすこ共著/金曜日刊)
*2) 電磁波過敏症と化学物質過敏症は、それぞれ電磁波と化学物質に過敏に反応する症状に苦しむ人のことで、頭痛やめまい、不眠、動悸、食欲不振、吐き気、嘔吐、皮膚のかゆみや赤み、集中力の欠如などさまざまな症状が出る。微量を繰り返しまたは一度に大量の電磁波や化学物質に被曝することで発症すると考えられているが、研究が進んでおらず、診療できる医師も限られ、周囲の理解が得られずに苦しんでいる患者も多い。